標準時間・分単価・稼働率 — 縫製費を決める三つの数字
縫製費は標準時間 × 分単価 ÷ 稼働率。三つとも間違えやすく、しかも三つの誤りがすべて同じ方向 — 原価を安く見せる方向 — に働きます。
縫製費の形は単純です — **標準時間 × 分単価 ÷ 稼働率**。三つの数字。三つとも日常的に間違えられ、しかも三つの誤りはすべて同じ方向に働きます。原価を**下げる**方向です。
1. 標準時間 — 推定ではなく実測
標準時間は、工程ごとに、通常のペースで、余裕を含めて、その製品にかかるべき時間です。工程分析の合計であって、似たスタイルから持ってきた一着分の数字ではありません。
時間分析がないなら、正直な代替は「稼働中のラインで工程を実測し、その方法で測ったと記録する」ことです。方法の分かる実測値のほうが、方法の分からない借り物より優れています — そして次のシーズンに改良できます。
2. 分単価 — ラインが実際にいくらかかるか
一定期間のライン運営費の合計 ÷ 同じ期間の有効生産分。この「合計」を削ってしまうのが典型的な誤りで、次を必ず含めます。
- オペレーターの賃金に、法定福利費などを乗せた金額。基本給ではありません。
- 管理者、機械保全、検査担当、補助工 — この人たちなしにラインは動きません。
- そのラインに配賦される工場間接費。
間接人員を落とすのが最も多い誤りで、しかも小さくありません。ラインを支える人員は、ラインに立つ人数に対して無視できない比率を占めます。
3. 稼働率 — 誰もが忘れる除数
ラインは理論上の分をそのまま出しません。習熟、工程間のアンバランス、品番切替、設備停止、欠勤がそれぞれ取り分を持っていき、残ったものが稼働率です。
**稼働率で割らずに**標準時間 × 分単価で縫製費を出すと、存在しない工場の原価を計算したことになります。縫製原価で単独最多の誤りです。
三つを分けておくと何が分かるか
分けてあれば、加工賃の一本値では答えられない問いに答えられます — **なぜこの製品は高いのか**。
| 外れているのは | 問題は | 見るべき場所 |
|---|---|---|
| 標準時間が高い | 製品が複雑か、方法が複雑 | 工程分析、アタッチメント、治具 |
| 分単価が高い | ラインの運営費が高い | 間接人員、間接費配賦、賃金構造 |
| 稼働率が低い | ラインが出せるはずの量を出していない | ライン編成、切替時間、欠勤、教育 |
三つの別々の問題、三つの別々の部署、三つの別々の対策です。加工賃一本にまとめると区別がつかなくなり — この業界の原価低減活動が「もっと速く縫え」に収束しがちな理由がここにあります。
このガイドが扱わない範囲
扱ったのは測り方と記録の仕方です。稼働率をどこまで上げるべきか、この製品の標準時間がいくらであるべきかは扱いません — 設備・作業者・製品構成で決まり、一般的な文書よりあなたのほうがよく知っています。
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