Costdown の使い方
Costdown は、原価低減の改善を数字として記録し、同じ国の他の工場と比較するための場所です。最初の二つの節が、その作業を最初から最後まで案内します。それ以降は、画面を見ただけでは分からないことの説明なので、必要になったときに読んでください。各入力欄にはその場で読める説明も付いています(「各項目の横にある ?」を参照)。
お使いのブラウザにAI拡張機能(Gemini、Claude、Copilotなど)があれば、それを有効にして開いている画面について直接質問してください——このページは項目ごとに整理されており、各入力欄にはその場の説明も付いているので、AIはあなたが各項目を探すより速く全体を読み取り、今の作業に合わせて答えてくれます。インストールと使い方を見る。
どこから始めるか
何をしに来たかによります。順不同で三つの入口があります。
| やりたいこと | 行き先 | 先に必要なもの |
|---|---|---|
| 公開せずに、改善でいくら下がるかを試算する | Intelligence → 計算ツール | 何も要りません。アカウント不要、入力は保存されません。 |
| 実施済みの改善を記録し、他社が見て比較できるようにする | Workspace → 起案 | 改善前と改善後の原価、そしてその二つをどう測ったか。 |
| 同業他社が何をやったかを見る | Discover → 事例 | 何も要りません。 |
計算ツールと起案画面は同じ計算式を使っているので、計算ツールで試した数字は、そのまま提案にしても同じ値になります。
提案を最初から最後まで書く
以下は起案画面の項目の並び順そのままです。開く前に、手元にあると良いものが五つあります。無くても書けますが、その場合は信頼度が低いままになります。
- 改善前と改善後の原価を、項目別に分けたもの。合計一本ではなく。
- その二つをどう測ったか。実測、日報、生産実績、請求書など。
- 月産数量、稼働日数、1日の直数、1直の時間。1個あたりに落とすためにシステムが必要とします。
- すでに投じた金額。無ければ「この提案に投資は不要」にチェックを入れてください。
- 設備名、材料コード、具体的な型式。具体的であるほど、読み手が自分の現場と突き合わせられます。
| 手順 | やること | 終わった時点で得られるもの |
|---|---|---|
| 1 | Workspace → 起案 へ。表題を入力し、業種を選ぶ。 | 必須の二項目が埋まります。業種を選ぶことで、以降の欄が適切な設備・材料を提示するようになります。 |
| 2 | 工程、主たる KPI 種別、難易度を選ぶ。 | この三つで、提案がどの比較群に入るかが決まります。空欄でも保存はできますが、順位付けの対象外になります。 |
| 3 | 詳細内容を書き、続けて三つの説明欄(課題・仕組み・要約)を書く。 | 読み手が最初に読む部分です。要約は見出しではなく、答えとして書いてください。 |
| 4 | 原価表へ移る。関係する項目ごとに「+ 行を追加」を押し、改善前・改善後の列を埋める。 | 右のパネルに合計と削減率が即座に表示され、入力に合わせて更新されます。「計算」ボタンはありません。 |
| 5 | 適用条件とリスクを埋める。 | この二つが、使える提案と自慢話とを分けます。読み手は、あなたの改善が「効かない場所」を知る必要があります。 |
| 6 | 効果をどう確認したか、測定方法を埋める。 | 信頼度を決めるのはこの欄です。何を、何で、何と比べて測り、誰が承認したかまで具体的に。 |
| 7 | 実削減か、コスト回避かを選ぶ。判断がつかなければ空欄のままに。 | その数字が請求書まで届くのかどうかが読み手に伝わります。 |
| 8 | 投資額と実施期間を入れる。投資が無ければチェックを入れる。 | 回収月数はシステムが計算します。自分で出す必要はありません。 |
| 9 | 保存を押す。 | 提案が「自分の提案」に現れます。以降、削減額を変更するたびに旧値・新値・日時が記録されます。 |
改善前・改善後の列について。改善前は現状、改善後は改善が入った後の状態です。改善が触れていない項目は、両方とも空欄にしてください。埋めるために改善前の数字を改善後にコピーしてはいけません。それは、その改善と無関係な項目について何かを主張したことになります。
右側の「システムが数字から読み取ったこと」というパネルは、保存後ではなく入力中に動きます。自分では気づきにくいこと——ほとんど効いていない行、他と桁が違う項目、片側だけ埋まっている箇所——を指摘します。40行入れ終えてから読むより、入力しながら読む方がはるかに価値があります。
まだ何も公開したくない場合は Intelligence → 計算ツールを使ってください。式は同じ、アカウント不要、何も保存されません。まずそこで数字を試し、後から起案に移ることもできます。
原価の十項目
原価は十項目に分かれています。十すべてを埋める必要はありません。あなたの改善が実際に触れる項目だけで結構です。
| 項目 | 埋めるのはこんなとき |
|---|---|
| 労務費 | 人が製品に時間を使うとき。機械の運転、組立、検査、段取り。 |
| 機械費 | 機械が動くとき。減価償却、電力、保全、占有した機械時間。 |
| 材料費 | 製品に入る材料。 |
| 不良費 | 捨てた材料や製品。 |
| 消耗品費 | 工具、ドリル、砥石、切削油など、摩耗して交換するもの。 |
| 外注費 | 外部業者に出した工程。 |
| 手直し費 | 廃棄せず、直して合格させた不良品。 |
| 包装費 | 箱、トレー、フィルム、緩衝材。 |
| 物流費 | この製品に紐づく運賃。 |
| 工場経費 | 経理がすでに製品へ配賦している分。数量を掛けるのではなく、月あたりで加算します。 |
空欄はゼロではない
ここが最も間違えやすく、そして間違えると、正しい数字とまったく同じ見た目の誤った原価が出来上がります。
空欄は「まだ申告していない」という意味であって、「その項目はゼロだ」と主張したことにはなりません。システムはこの二つの状態を区別し、別々に表示します。本当に「これは費用ゼロだ」と言いたいのなら 0 と入力してください。それは主張であり、空欄とは別物です。
理由はこうです。項目の半分が空欄でも、削減率はとても魅力的な数字になります。もし空欄をゼロとして扱えば、「本当に大きく下がった改善」と「著者が半分しか埋めていない提案」を誰も見分けられなくなります。
実削減とコスト回避
この二つは紙の上では同じに見えますが、帳簿での挙動が違います。どちらなのかを提案ごとに明示してください。
- 実削減:改善後、毎月実際に支払う額が、今払っている額より下がる。電気代を月 5,000 万払っていて、モーターを替えて 4,200 万になる。翌月の請求は 800 万下がります。
- コスト回避:支払額は下がらない。上がるはずだったものが上がらなかった、というだけです。仕入先が 5,000 万から 5,500 万への値上げを通告し、交渉と材料変更で 5,000 万に据え置く。請求は 5,000 万のまま、経理からは何も下がって見えません。
確信が持てないなら空欄にしてください。空欄は「未申告」ですが、当てずっぽうは「誤ったことを申告した」になります。同業の読み手はそれに気づきます。
四つの信頼度
提案にはそれぞれ信頼度が付きます。システムは、実際に存在する根拠から信頼度を計算し直します。自分で選ぶラベルではなく、長く書けば上がるものでもありません。
| 段階 | 意味 |
|---|---|
| 未検証 | 著者が計算しただけで、測定の根拠がない。 |
| 自己証跡あり | 数字が揃っていて、どう測ったかを著者が述べている。 |
| 相手方確認済み | ある工場が実際に適用し、実測値を双方で合意した。 |
| プラットフォーム検証済み | 独立した第三者が確認し、成立すると結論した。 |
提案を書くうえで最も重要なのが「どう確認したか」の欄です。「明らかに減ったのを確認した」といった曖昧な記述では、数字がどれほど良くても最低段階のまま、順位付けの対象外になります。何を、何で、何と比べて測り、誰が承認したか——具体的であれば段階が上がります。
投稿数は順位付けに一切影響しません。同点時の判定にも使いません。たくさん投稿しても上には行きません。
他の工場と比べる
順位付けと比較は、同じ国の中だけで行われます。ベトナムで 20% 下げた改善とドイツで 20% 下げた改善は直接比較できません。人件費・電力・材料価格が離れすぎているからです。
そのため比較は、絶対額ではなくパーセントと回収月数で測ります。為替レートは保存した時点の実勢を取得して固定するので、レートが動いても古い提案の意味は変わりません。
同僚とグループを作る
同じ会社の同僚は、勤務先名を挙げるのではなく、ランダムな参加コードでグループ化します。コードを作って同僚に渡し、それを入力した人が同じグループに入ります。勤務先を明かさずに、社内の材料コードを共有したり数字を持ち寄ったりできます。
コードは作成時に一度だけ表示され、読める形では保存されません。紛失した場合、管理者を含め誰も復元できません。新しく作り直し、古いものを失効させてください。
誰かがあなたの改善を適用したとき
提案は、改善を提供した側と適用した側の二者による案件に発展することがあります。適用した側が実測値を提出し、もう一方がそれを確認します。双方が合意したときに初めて、結果が検証済みとして記録されます。
これが表計算ソフトには出せないものです。他社の誰かが自分の名前を添えた数字、ということです。
各項目の横にある ?
ほとんどの入力欄の横に ? があります。押すとその欄の説明が開き、どれも四つのことに答えます。それが何か、埋めるべきとき・埋めないとき、実際の数字を使った例、そして名前から想像できる範囲を超えてその欄が扱う場面です。
読む価値が高いのは四つ目です。項目名は最も短い呼び名であって、最も広い呼び名ではありません。「重量(kg)」を見て金属専用だと思い込むと、樹脂・繊維・木材の仕事では材料費の項目を丸ごと飛ばすことになります。
計算式がある欄では、説明にその式と出典が書かれています。
なぜ Excel ではだめなのか
もっともな質問です。Excel の方が入力は速く、レイアウトは自由で、オフラインでも動きます。Costdown はその三点で勝とうとはしていません。
表計算ソフトにできないことが五つあり、それが Costdown の存在理由のすべてです。
- 材料・設備・工程の共通ライブラリを共有する。各自が同じものを別の表記で入力し、結局足し合わせられない、という事態を避けます。
- 同じ業種・同じ国の他の工場の数字を見る。
- あなたの改善を実際に適用した相手が、実測値を自分で確認する。
- 消せない変更履歴を残す。削減額を変えると、旧値・新値・変更したアカウント・日時が記録されます。
- 全員が同じ式を使う。二つのファイルが二つの答えを出し、どちらが正しいかで揉めることがなくなります。
目の前の仕事にこの五つがどれも要らないなら、Excel の方が本当に速いです。それははっきりそう申し上げます。
書いてあることと違うとき
製品の挙動がこのページの記述と違う場合、それは私たちの誤りであってあなたの誤りではありません。お問い合わせ からお知らせください。ご連絡は保存され、すぐに受付番号が付きますので、要望が消えることはありません。
業種別ガイド
一般論ではなく業種ごとに書いています。原価の分解方法、間違いやすい箇所、そして現場のどこに数字があるか。
全業種共通
- 原価低減の事例を、他人が信じられる形で残す方法
Costdown に改善事例を残す四つの手順、証拠で決まる四段階の信頼度、同じ国の中だけで行うベンチマーク、そして検証済み事例の構造を横展開する方法。
- その原価低減は本当にお金になるのか — ボトルネックと三つの条件
設備を速くしても利益が増えないのはなぜか。計算上の削減額が実際の現金になる条件と、投資判断の前に見分ける方法を、工程の制約という観点から整理します。
- 空欄になりやすい六つの項目と、それぞれが原価をどちらへ狂わせるか
歩留り、余裕率、電力費、梱包数量、段取費など、記入されないまま残りやすい項目。空欄と「ゼロ」は別物であり、混同すると正しく見える誤った原価が生まれます。
- 製造原価の十項目 — 生産工程の順に
Costdownが製品原価を計算するために使う十項目 — 材料費、設備費、労務費、工具費、不良品費、手直し費、外注加工費、梱包費、物流費、製造間接費 — それぞれの計算式と具体例。
- 改善前・改善後の原価表の入力方法 — 削減率を正しく出すために
改善前と改善後の原価表で各行をどう入力するか(名称・標準コード・メーカー・月産数・サイクルタイム)。削減率、ROI、回収期間を正しく計算させるための入力の勘どころ。
- 手直し費用は一個いくらか — 不良廃棄と同じ欄に入れてはいけない理由
手直し費用の一個あたり計算式、救える品と捨てるしかない品の見分け方、そして両者を一つにまとめると必ず原価が高く出てしまう理由。
- 包装費は一個いくらか — 重さではなく、一箱に何個入るかで決まる
段ボール、袋、緩衝材、ラベル、パレットの費用を一個あたりに直す方法。基準は一梱包に入る個数であり、包装を材料費に混ぜてはいけない理由も扱う。
- 外注加工費:一個あたりの単価と、運賃との境目
熱処理・めっき・表面処理・検査といった外注工程を製品原価に入れる方法、それが材料でない理由、そして外注と内製を公平に比べる組み立て方。
- 工場間接費を製品原価に配賦する — 二重計上しないために
建物の減価償却、照明、監督者の人件費、共通保全といった工場間接費を一個あたりの原価に入れる方法と、この費用が二重に数えられる唯一の場所。
- ブラウザのAI拡張機能を導入して、自分だけでCostdownの提案書を書く方法
Geminiのインストール方法、Claudeの使い方、Chrome向けの他のAI拡張機能の使い方をまとめ、誰かに一つひとつの入力欄を説明してもらわなくても、Costdownを自分で読み解いて完全な提案書を書けるようにする方法を説明します。
- 原価計算の式 — 二つの式は、違う問いに答えている
期間の会計の式と単位原価の式は別の問いに答えます。会計の三区分と10費目の対応表、そして二つの数字がずれるのが正常である理由。
機械加工・精密切削
- 機械加工の原価計算 — 10費目を工程順にたどる
切削加工品の原価を、材料・機械時間・労務・工具・不良・手直し・外注・梱包・運賃・間接費まで漏れなく積み上げる方法。同じ図面で二人が違う金額を出す理由から説明します。
- データがない工場が原価計算をどこから始めるか
システムも一か月の調査も要りません。部品を一つ選び、三つの数字を一週間で測り、残りは既にある帳票から取る。それで根拠のある原価が一つできます。
- 工具費を一個あたりに換算する方法と、下げ方三つ
切削工具は箱で買い、一個ずつ減っていきます。その換算方法、何も買わずに工具寿命を測る方法、そして実際に利益に届く三つの改善。
板金:レーザー切断・曲げ
- 板金加工の原価計算 — 工程ごとに違う単位で測る
レーザー切断と曲げを含む板金部品の原価を10費目で積み上げる方法。切断は切断長、抜きは打数、曲げは曲げ数 — 平均してしまうと本当の原価要因が見えなくなります。
- ネスティングと歩留り、そしてスケルトンの本当の値段
板金原価では材料が最大の費目になることが多く、その大半はネスティングで決まります。実歩留りの測り方、スケルトンの評価、そして原価表を必ず良く見せてしまう二重控除。
縫製
- 縫製品の原価計算 — CM工賃の中身を10費目に分ける
生地、附属、裁断、縫製分、仕上げ、梱包まで。バイヤーに提示する加工賃が何でできているかを分解し、価格交渉を勘ではなく根拠で行えるようにします。
- 標準時間・分単価・稼働率 — 縫製費を決める三つの数字
縫製費は標準時間 × 分単価 ÷ 稼働率。三つとも間違えやすく、しかも三つの誤りがすべて同じ方向 — 原価を安く見せる方向 — に働きます。
- 一着あたりの要尺と、生地が実際に消える場所
生地は縫製原価で最大の費目です。要尺をマーカーから取る方法、マーカー効率が測っているものの範囲、そしてマーカーには決して現れない損失について。
射出成形・ゴム
- 射出成形の原価計算 — ショット重量・サイクル・取り数
成形品の原価を10費目で積み上げる方法。ほぼすべてが三つの数字に帰着し、そのどれか一つを間違えると原価表全体が動きます。
- 型償却と取り数の経済性 — 金型判断の裏にある算数
取り数を増やせば型は高く、部品は安くなる — ある点までは。型費を正直に配分する方法と、二つの取り数案を勘ではなく数字で比べる方法。
- 粉砕材と回収価値 — 唯一のマイナス項目
ランナーや不良品は粉砕して再び成形できます。その回収をどう評価するか、そして原価表を静かに良く見せてしまう二重控除について。
- ゴム成形の原価 — 射出成形とほぼ同じ、決定的な一点を除いて
加硫ゴム部品の原価計算。構造は射出成形とほぼ一致しますが、バリを粉砕して戻せない — その一点が、どこを改善する価値があるかを変えます。
家具製造
- 家具製造の原価計算 — 三つの材料、三つの違う単位
収納や椅子の原価を10費目で積み上げる方法。板材・エッジ材・金物はそれぞれ買う単位が違い、これを一行にまとめると材料費が静かに壊れます。
- 板取りの歩留り — 最短時間で最大の金額が動く数字
板材費は部品の面積ではなく、開けた板の枚数で決まります。既にある記録から実歩留りを測る方法と、最適化ソフトの理論値で原価を作ってはいけない理由。
- かさばる荷物の運賃 — 重さより先に容積が埋まる
家具の運賃は重量ではなく容積で決まり、それが改善の価値を変えます。一台あたりの計算方法と、ノックダウンが設計判断である前に原価判断である理由。
印刷・紙器
- 印刷物の原価計算 — ロットで発生する費用と、部数に比例する費用
印刷の原価を10費目で積み上げる方法。この業種は一件ごとの費用と一部ごとの費用の混在が最も激しく、両者を混ぜると小ロットが不当に安く見えます。
- ヤレ紙 — 数量に比例しない材料費
色出しで潰す紙は、変動費の顔をした固定費です。原価表のどこに置くかで、小ロットの価格が正しくなるかどうかが決まります。
- 紙の使用量 — 何面付けか、そして裁ち落としはいくらか
印刷原価で紙は最大の費目になることが多く、その大半は面付けで決まります。実使用量の測り方、用紙サイズの問いを機械の問いより先に立てる理由、そして損紙の本当の値段。
食品加工
- 食品加工の原価計算 — 歩留り、バッチ、そしてバッチとバッチの間
加工食品の原価を10費目で積み上げる方法。原料は工程ごとに目減りし、洗浄や切替など「バッチの間」に発生する費用は個数ではなくバッチに属します。
- 加工歩留りは掛け算で減る、足し算ではない
工程ごとの損失は積み重なるので、小さな損失の連続は合計よりずっと大きくなります。既にある二つの数字で連鎖全体を測る方法と、過量充填が隠れている場所。
- 洗浄と切替 — 一個あたりではなく、バッチあたりの費用
バッチ間の洗浄費用はバッチが大きくても小さくてもほぼ同じ。それが小ロットを高くしている本当の理由です。計上方法と、最小バッチの決め方。
酒類
- 酒類の原価計算 — 時間そのものがいくらかかるか
原料と加工に加えて、熟成が三つの費用を生みます — 動かせない資金、天使の分け前、そして何か月も占有される貯蔵スペース。
たばこ製品
- たばこ製品の原価 — 水分で使用量の数字が動く
バッチ原価は食品加工と同じで、固有の点が一つ — 原料重量が水分で変わるため、共通の基準に換算しないとロット間の比較ができません。
電子機器組立
- 基板実装の原価計算 — 部品、実装点数、そしてBOMに載らないもの
実装基板の原価を10費目で積み上げる方法。この業種を分けるのは二つ — 部品表が原価を支配すること、そして機械時間が基板枚数ではなく実装点数に比例すること。
- 数百行のBOM — 合計を変えずに末尾をまとめる
部品表の大半は、合計してもほとんど動かない安価な部品です。表を読める長さに保ちながら合計を一致させる方法と、まとめると必要なものが消える三つの場合。
- 実装点数と切替 — SMT価格を決める二つの数字
SMTの組立費は、何点実装するかと、何回段取りするかで決まります。どちらもラインが既に出しているデータから測れ、それぞれ別の改善を指します。
半導体:組立・検査
- 半導体 後工程の原価計算 — 不良が最も高くつく業種
ダイボンド、ワイヤボンド、封止、検査の原価。最も高価な部材が最初の工程で製品の中に入るため、後の工程で失うほど損失が跳ね上がります。
機械製造・産業機械
- 機械一台の原価計算 — 部品から積み上げる、時間から割り下ろさない
産業機械や装置の原価を10費目で。内製品・購入品・外注品はそれぞれ計算方法が違い、材料を支給したときに二重計上が起きます。試運転も費用の一行です。
- 初期費用 — 設計・治具・初号機、そして何台で割るか
少量では一回限りの費用が薄まりません。どれが一回限りかの判定、割る台数の選び方、そして無視すると見積が安く見えて赤字になる仕組み。
溶接・鉄骨構造
- 溶接構造物の原価計算 — 個数ではなく溶接長で測る
鉄骨・溶接構造物の原価を10費目で。同じ重量の二つの製品が大きく違う原価になるのは、この業種を動かしているのが溶接長とアークタイムだからです。
- 溶接ひずみ — 原価表のどの行にも現れない費用
熱は鋼を動かし、その矯正に使った金は四つの費目に散らばって誰にも見えません。一つの数字にまとめる方法と、量が増えると治具が矯正に勝つ理由。
住宅・土木建築
- 建築工事の原価計算 — 施工順に10費目を積み上げる
住宅・建築工事の原価を、施工の流れに沿って材料・重機・労務・ロス・消耗品・下請・手直し・養生・運搬・現場経費の10費目で積み上げる方法。
土木工学・インフラ
- 土木工事(道路・橋梁・管渠)の原価計算 — 土工と残土処分
道路・橋梁・管渠など土木工事の原価を10費目で整理。建築と違うのは土工量、第三者試験、残土処分の運搬が大きな費目になる点です。
商業・産業建築
- 商業・工業建築の原価 — 住宅建築と同じ構造
店舗、事務所、工場建屋の工事原価は、住宅建築と同じ10費目・同じ手順で積み上げられます。違いは規模と専門工事の比率だけです。
建築・都市計画
- 設計事務所の原価計算 — 材料ではなく「時間」が主役
建築設計・都市計画業務の原価は、設計者の工数と事務所経費でほぼ決まります。外注(構造・設備設計)と設計変更による手戻りが大きな費目です。
貨物輸送
- 貨物輸送の原価計算 — 車両と燃料、そして空車回送
トラック輸送の原価を10費目で整理。車両償却と燃料が大半を占め、帰り便の空車回送を入れないと1運行あたりの原価が大きく過小になります。
海上輸送
- 海運の原価計算 — 陸運と同じ枠組み、違う三つの費目
海上輸送の原価はトラック輸送と同じ枠組みで整理できます。違いは燃料(バンカー)、港湾費用、滞船料の三つです。
鉄道輸送
- 鉄道輸送の原価計算 — 線路使用料と入換作業
鉄道貨物・旅客輸送の原価は運輸の共通枠組みで整理できます。固有の費目は線路使用料と、駅・ヤードでの入換作業です。
旅客輸送(陸運)
- 旅客自動車(バス)の原価 — 貨物輸送と同じ構造
バス・旅客輸送の原価は貨物輸送と同じ10費目で整理できます。空車回送の代わりに「空席」が原価を押し上げる要因になります。
造船
- 造船の原価計算 — ブロック建造とドックの占有日数
造船の原価をブロック単位で積み上げる方法。ドックは専用の設備として占有日数で配賦し、進水は一回限りの費用として扱います。
鉄道車両製造
- 鉄道車両製造の原価 — 機械製造と同じ構造
鉄道車両・部品の製造原価は、機械製造と同じく部品から組み上げて計算します。10費目も手順も共通です。
その他輸送機器製造
- その他輸送機器製造の原価 — 機械製造と同じ構造
二輪車、特装車、その他輸送機器の製造原価は、機械製造と同じく部品から組み上げて計算します。
鉱業
- 鉱山の原価計算 — 剥土比が原価の大半を決める
鉱山の原価には購入原材料がありません。最大の要因は剥土比で、これが重機と労務の両方に配分されます。尾鉱が不良品の役割を果たします。
石油・ガス採掘
- 石油・ガス開発の原価計算 — 坑井掘削費と自然減退
上流の石油・ガス生産の原価。購入原材料はなく、坑井ごとの掘削費を埋蔵量で償却すること、生産量が時間とともに自然減退することが固有の特徴です。
石油・ガス
- 石油・ガス産業の原価 — 上流開発と同じ構造
石油・ガス産業全般の原価は、上流の石油・ガス開発と同じ構造です。坑井ごとの掘削費償却と自然減退が中心です。
電力・水道
- 電力・水道事業の原価計算 — 不良品の代わりに送配電損失
発電・水道事業の原価を10費目で整理。再生可能エネルギーでは燃料費がゼロになり得ること、損失は製品単位ではなく総供給量に対する率で発生することが特徴です。
農業(栽培)
- 農業(耕種)の生産原価 — 不良品の代わりに収穫後ロス
作物の生産原価を、作付面積ではなく実際の収穫量で割る方法。収穫後ロスは複数の地点で連鎖的に発生し、地代は経費の独立した一行になります。
畜産
- 畜産の生産原価 — 飼料単価より飼料要求率
畜産の原価を決めるのは飼料の単価ではなく、増体1kgに必要な飼料量(飼料要求率)です。へい死は不良品と違い回収価値がありません。
水産業
- 水産業の原価計算 — 漁船漁業と養殖はまったく別の構造
水産業には二つの原価構造があります。漁船漁業は1航海の燃油費、養殖は飼料要求率と段階別のへい死が中心です。
林業(伐採)
- 林業(素材生産)の原価計算 — 立木代と集材
素材生産の原価には購入原材料がありません。立木購入費・林地の賃借料を蓄積量で償却すること、集材を地形ごとに別費目で扱うことが要点です。
木材製品製造
- 製材・合板の製造原価 — 歩留りは重量ではなく材積で
製材・合板・MDFの製造原価。家具の前工程にあたり、歩留りは重量ではなく材積(㎥)で測ります。木質ボードでは接着剤と熱圧のエネルギーが独立した費目です。
製紙業
- 製紙の製造原価 — パルプ歩留りと、償却を超える蒸気コスト
パルプ・紙の製造原価。中心となる指標のパルプ歩留りは中間の化学工程にあり、蒸気エネルギーはしばしば設備償却を上回ります。断紙は時間だけでなく材料の損失です。
保守修理
- 保全・修理サービスの原価計算 — 単位は製品ではなく工数
設備保全・修理サービスの原価。単位は作業1時間または1件、部品は案件ごとに調達し、手直しは「誤診断による再修理」を意味します。
倉庫保管
- 倉庫・保管の原価計算 — 単位は「面積×期間」
倉庫業の原価は製品の加工ではなく、スペースと期間に結びつきます。在庫の減耗は、どの工程も触れていない間に発生する不良品の代わりです。
不動産管理
- 不動産管理の原価計算 — 最大の費目は外注
賃貸不動産の運営・管理原価。単位は管理面積1㎡×1か月で、清掃・植栽・設備保守などの外注が最大の費目になります。建設工事とは別物です。
革製品・靴
- 革製品の原価 — 縫製と同じ、ただし材料が均一でない
靴や革製品の原価計算。ライン生産と標準時間は縫製とまったく同じですが、革は形も品質も一枚ごとに違うので、理論要尺はほとんど意味を持ちません。
化学品製造
- 化学品の原価 — 食品加工と同じ、加えて売れる副産物
バッチ式化学品の原価計算。歩留りの連鎖もバッチ間の洗浄も食品加工と同じで、一つ加わるのは、売れる産物が複数あるときの費用の按分です。
建材
- 建材の原価 — 運賃が脚注ではなく主要費目
生コン、ブロック、二次製品の原価計算。原料が安くて重いので、重量と距離で決まる運賃が加工費を上回ることが多く、配送圏が原価表の一部になります。
自動車部品
- 自動車部品の原価 — 機械製造と同じ構造、量産で裏返る
車両向け部品・ユニットの原価計算。積み上げ方は機械製造と同じですが、量産のため一回限りの費用が沈み、代わりに品質費用が浮上します。
航空・宇宙部品
- 航空部品の原価 — 削り出し比率と、書類の費用
航空機部品の原価計算。工程は機械加工と同じですが、素材が高価なため削り落とす比率が決定的で、証明書類の作成も実在する費用です。
医療機器
- 医療機器の原価 — 生産環境を維持する費用を足す
医療機器の原価計算。組立は電子機器、樹脂部品は射出成形に従い、加えて固有の費目が一つ — 生産環境の維持は生産量ではなく時間で発生します。
スポーツ用品
- スポーツ用品の原価 — 一つの製品、下にいくつもの原価表
ラケット、シューズ、自転車は樹脂・繊維・木・革・金属を一つの製品に組み合わせます。各部を対応する業種の方法で計算し、細部を失わずに合計する方法。
再生可能エネルギー機器
- 再生可能エネルギー機器の原価 — 三業種が一製品、そして守る境界
パネル、パワコン、架台の原価計算。部分ごとに別のガイドに従い、原価表は工場出荷までで止めます — 現地据付は製品ではなく役務です。
単品で数えない業種
- 製品が「一個」でない業種 — 何を単位にするかを先に決める
建設、運輸、資源、電力・水道、農林水産には数えられる製品がありません。使える単位の選び方と、この製品がまだ応えられない点を正直に書きます。