溶接構造物の原価計算 — 個数ではなく溶接長で測る
鉄骨・溶接構造物の原価を10費目で。同じ重量の二つの製品が大きく違う原価になるのは、この業種を動かしているのが溶接長とアークタイムだからです。
他の業種には「一個あたりのサイクル」が自然に存在します。溶接構造物にはありません — 同じ重量の二つの製品でも、片方の溶接量が多ければ工数は数倍違い得ます。
だから測定単位は**溶接長**であり、ほとんどの費目がそれに従います。
溶接長はどこから取るか
- 製作図の溶接記号・溶接表 — 最も確実で、あるなら必ずこれを使う。
- 完成した製品で実測 — 図面に溶接表がない場合。
- 継手数 × 一継手あたり平均長で推定 — 最後の手段で、推定であると記録する。
10費目
1. 材料 — 鋼材
鋼板、形鋼、鋼管を、**その仕事に払い出した重量**で。完成品の重量ではありません。定尺から切り落とした分は請求書から消えません。
2. 材料 — 溶接材料
この業種だけが持つ行であり、鋼材重量ではなく**溶接長と開先断面**に比例します。
| 消耗材 | 測り方 | 落とされる理由 |
|---|---|---|
| 溶接棒・ワイヤ | 総溶接長に対する消費重量 | リールや箱で買うため、一つの仕事に割り付けにくい |
| シールドガス | アークタイム中の消費量 | ボンベで買い、複数の仕事で共用する |
| チップ、ノズル、電極 | 交換回数 ÷ 交換間の製作数 | 一個が安いので「雑品」扱いされる |
システムが代わりに知り得ないのは**消費量**で、これは流量設定・継手形状・現場の習慣によります。測る数字です:ある期間の総消費量 ÷ 同じ期間の総溶接長で単位長あたりの原単位を出し、この製品の長さに掛けます。継手ごとに厳密ではありませんが、推測ではなく**実測**です。
3. 機械時間
被覆アーク、MIG、TIG、スポット、レーザー、ロボット — 単価はそれぞれ違い、差は大きい。
この業種特有の罠:**機械時間は溶接工の就業時間ではありません**。アークタイムは一日の一部でしかなく、残りは仮付け、姿勢替え、スラグ除去、検査です。就業時間全体を機械時間として計上すると時間単価が薄まり、誰とも比較できない数字になります。
測れるならアークタイムで、残りは労務へ。分けられないなら合算し、そう書いてください。
4. 労務 — 置き換えのきかない四つの塊
- 切断と開先加工。
- 仮組み・仮付け — 本溶接より長いことが多く、その後の精度をすべて決めます。
- 本溶接 — 溶接長に直接比例する唯一の塊。
- 溶接後の清掃 — スラグ、スパッタ、グラインダ仕上げ。
5. 工具
切断砥石、研削砥石、ワイヤブラシ、ドリルを、交換間の製作数で割ります。一つの製品専用の治具は一回限りの費用 — 機械製造のガイド参照、算数は同一です。
6. 不良
溶接構造物は丸ごと捨てることは少なく、切って溶接し直します。だからこの業種の損失の大半は不良ではなく**手直し**に入ります。不良が本当にゼロなら、空欄ではなくゼロを入力します。
7. 手直し — この業種で最も重い行
同じ行に入れてはいけない二つの原因。対策が正反対だからです。
- 溶接欠陥 — はつって清掃し再溶接し再検査。材料も工数も食います。
- 熱ひずみによる寸法不良 — 矯正するか、切り離して位置決めし直して再溶接。専用のガイドがあります。
8. 外注加工
ブラスト、溶融亜鉛めっき、塗装、そして非破壊検査を外注する場合。往復の運賃を含めます — 構造物は重く、運賃は小さくありません。
9. 梱包・運賃
重くて扱いにくい:トラックは容積より先に**積載重量**が尽きます — 家具とは逆です。一便の費用をその便の個数で割り、前提の距離を記録します。
10. 工場間接費
この業種は電力が特に大きい。既に溶接機の時間単価に入っているなら、ここで二重計上しないこと — 溶接構造物で最も多い二重計上です。
確認する三つ
- 機械時間はアークタイムか。就業時間になっていないか — なっていれば単価は誰とも比較できません。
- 溶接材料とガスを、まとめ買いだからと空欄にしていないか。
- 電力は一度だけか。時間単価か間接費のどちらか一方に入っているか。
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